Bフレッツ活用編(その1) ルータの導入

 ブロードバンドルータの導入について,そのメリットや機種選択などをまとめました。また,フレッツ接続ツールなどとの比較もしています。

■Bフレッツとブロードバンドルータ

 ルータとはどのようなものでどういうメリットがあるかなどと言った基本的な点については(ネットワーク&インターネットラボ)ですでにまとめてありますのでそちらを参照していただくとして,Bフレッツ環境でルータを選ぶ場合のポイントを説明します。ポイントとして重要なのは(1)PPPoEとIPマスカレードのサポート,(2)スループット,(3)マルチセッションの3つです。

 まず(1)についてですが,現状市販されているブロードバンドルータはほぼすべてPPPoEとIPマスカレードをサポートしていますので,別段気にとめる必要もありません。ただ,一部「Yahoo! BB」専用として売られているルータもありますので,このようなものは選択肢から外す必要があります(Yahoo! BBはPPPoEを使わないが,この機能がないとBフレッツでは接続できない)。

 (2)のスループットは今もっとも注目を集めている分野です。かつてはルータを経由させるよりも回線終端装置(メディアコンバータまたはONU)にマシンを直接接続した方が高い速度を確保できました。しかしルータに搭載されるプロセッサが高性能化した現在では,負荷のかかるPPPoEの処理をルータに分散させた方がより高いスループットを確保できるようになりました。また,スループットの計り方には(ア)測定機器(SmartBits)を用いた理論値,(イ)FTPプロトコルによる測定,(ウ)PPPoE環境での測定があります。(ア)→(イ)→(ウ)の順で速度が低くなりますが,Bフレッツで利用する場合は(ウ)を重視することになります。パッケージやカタログで表示されるのは最も高い値が出る(ア)であることが多いのですが,ものによってはそれぞれのスループットが大きく異なることがありますので,その点は注意が必要です。

 (3)のマルチセッションですが,Bフレッツのすべてのタイプで2つ以上のPPPoEセッションを同時利用するために必要な機能です。具体的な応用としてはフレッツ・スクウェアやBROBABB.exciteといったコンテンツプロバイダとをシームレスに利用できます。マルチセッションを実現するにはフレッツ接続ツールを利用する手もありますが,これが一番簡単でしょう。

■ブロードバンドルータ導入記〜NTT-ME「BA8000 Pro」

 当初はフレッツ接続ツールをマシンにインストールして使っていましたが,(1)セキュリティの問題がある,(2)レスポンスが悪い(接続ツールの起動・終了に30秒以上かかる),(3)接続操作が必要と問題点が多かったのでブロードバンドルータを導入することにしました。

 導入するとなれば機器選択ですが,とりあえずBフレッツ対応ルータとして発売されている現行機種をリストアップして,機能比較をしてみました。

表示スループット 静的IPマスカレード UPnP PPPoEマルチセッション SPI VPN接続 *1 その他
NTT-ME「BA8000 Pro」 FTP実測:90Mbps
Bフレッツ実測:75Mbps
PPTP,L2TP,IPsec VLAN,IPunnumbered
メルコ「BLR3-TX4」 SmartBits:98.7Mbps
FTP実測:88Mbps
PPTP,IPsec IPunnumbered
コレガ「BAR SW-4P HG」 SmartBits:91Mbps
FTP実測:89Mbps
PPTP,L2TP,IPsec IPunnumbered
マイクロ総研「NetGenesis SuperOPT90」 FTP実測:94Mbps
Bフレッツ実測:81Mbps
× × PPTP IPunnumbered
プラネックス「BRL-04FM」 FTP実測:91Mbps × PPTP,L2TP,IPsec VLAN,IPunnumbered
プラネックス「BRL-04FA」 FTP実測:65Mbps × IPunnumbered
NEC「Aterm BR1500H」 SmartBits:98Mbps
FTP実測:75Mbps
△ *2 PPTP

*1 PPTP:Point-to-Point Tunneling Protocol/L2TP:Layer 2 Tunneling Protocol/IPsec:IP security
*2 「PPPoEブリッジ機能」により,ルータがPPPoEセッションを確立させた状態でさらに,1台のマシンからPPPoEクライアントツールを用いて直接セッションを確立することができる。

 この中でもっともサポートしている機能が多くて,かつBフレッツでの実効スループットが示されているNTT-ME「BA8000 Pro」を私は選びましたが,ここに示されているものであればどれを選んでも後悔することはないようです。このページを読まれているあなたが実際にルータを選ぶときも,この表のように機能を表にまとめ比較してみれば,自分にあったものを選びやすくなるのではないでしょうか。また,メーカーが公開するデータだけではなく,ユーザ情報をBBSなどで仕入れることも有益でしょう。

 ルータ経由で測定したスループットです。なお,MTUはPPPoEに最適化された1454に(ルータに設定),RWINは65044に(マシンに設定)してあります。Bフレッツおよびフレッツ・ADSLでMTUを1455以上にすると場合によっては接続できないことがありますので,MTUは必ず1454以下にしてください。なお,RWINの設定はMTU-40(MSS)の整数倍にします(RWINとして設定すべき値については,測定サイトによって大きいほどいいものと一定以上大きくすると測定できないものがあります)。

 ちなみに,Windows98をクリーンインストールしてMTUとRWINを最適化しただけの状態では,フレッツ・スクウェアで最大80Mbps程度(連続して測定しても10〜20Mbps程度のぶれはあります)出ますが,この状態からウイルスバスター2003を導入すると20Mbps以上出なくなりました。また,PentiumIIマシンとFTTHの要求スペックからみればはるかに低いのですが,旧機種でもこれくらいは出るという参考にしてください。

【その1】
==== Radish Network Speed Testing Ver.2.25 - Test Report ====
使用回線:NTT Bフレッツ ファミリー100
プロバイダ:OCN
測定地:三重県名張市
-------------------------------------------------------------
測定条件
 精度:高 データタイプ:圧縮効率低
下り回線
 速度:21.69Mbps (2.712MByte/sec) 測定品質:90.9
上り回線
 速度:7.153Mbps (894.1kByte/sec) 測定品質:97.8
測定者ホスト:p2186-ipbf01motosinmat.mie.ocn.ne.jp
測定時刻:2003/3/16(Sun) 15:34
-------------------------------------------------------------
測定サイト http://www.studio-radish.com/tea/netspeed/
=============================================================

C:\>tracert www.studio-radish.com
Tracing route to studio-radish.com [203.138.136.172]
over a maximum of 30 hops:

  1     1 ms   <10 ms     1 ms  192.168.1.1 
  2     4 ms     4 ms     4 ms  218.43.242.145
  3     6 ms     6 ms     5 ms  61.207.36.145
  4     5 ms     5 ms     5 ms  211.122.4.66
  5     8 ms     8 ms     9 ms  210.163.253.9
  6     9 ms     8 ms     8 ms  210.163.253.98
  7     8 ms     9 ms     9 ms  210.173.178.11
  8     8 ms     9 ms     8 ms  g0-0-0-dojima-core1.sphere.ad.jp [202.239.113.163]
  9    17 ms    16 ms    16 ms  a4-0-0-n-otemachi-core1.sphere.ad.jp [202.239.113.109]
 10    16 ms    16 ms    17 ms  g2-0-n-otemachi-core6.sphere.ad.jp [203.138.68.205]
 11    17 ms    15 ms    15 ms  p4-3-kanda-core6.sphere.ad.jp [202.239.114.229]
 12    16 ms    16 ms    17 ms  g2-0-kanda-arena-core2.sphere.ad.jp [202.239.114.152]
 13    17 ms    16 ms    17 ms  f0-1-0-kanda-arena-gw12.sphere.ad.jp [203.138.77.83]
 14    17 ms    18 ms    18 ms  studio-radish.com [203.138.136.172]

Trace complete.
【その2】
speed.rbbtoday.com
Date: 2003/03/16(Sun) 15:43:14
  Download: 25.01Mbps
  Upload: 4.04Mbps

C:\>tracert speed.rbbtoday.com

Tracing route to speed.rbbtoday.com [211.14.5.157]
over a maximum of 30 hops:

  1     1 ms     1 ms   <10 ms  192.168.1.1
  2     4 ms     3 ms     4 ms  218.43.242.145
  3     5 ms     7 ms     5 ms  61.207.36.145
  4     5 ms     5 ms     6 ms  211.122.4.67
  5     8 ms     8 ms     7 ms  61.207.14.45
  6    14 ms    14 ms    14 ms  61.207.14.62
  7    15 ms    15 ms    14 ms  61.207.0.245
  8    14 ms    15 ms    14 ms  61.207.0.6
  9    16 ms    15 ms    14 ms  211.6.0.106
 10    14 ms    15 ms    15 ms  210.132.63.90
 11    15 ms    18 ms    15 ms  ge3-0.otmnoc-8.bbn.web.ad.jp [133.160.30.96]
 12    16 ms    15 ms    15 ms  p3-0.kdd-9.bbn.web.ad.jp [133.160.240.254]
 13    15 ms    16 ms    18 ms  ge3-0-0.kdd-7.bbn.web.ad.jp [133.160.12.70]
 14    14 ms    15 ms    14 ms  bbtower-connect.bbn.web.ad.jp [202.219.160.74]
 15    16 ms    15 ms    16 ms  GigabitEthernet1-0.edge01.colo01.bbtower.ad.jp [211.14.3.196]
 16    15 ms    15 ms    15 ms  iri-ct-4.demarc.colo01.bbtower.ad.jp [211.14.2.65]
 17    17 ms    16 ms    15 ms  speed.rbbtoday.com [211.14.5.157] 

Trace complete.

 実際のスループットはONU直付けの時とさほど変わらないのですが,接続/切断動作が必要ないという点で大変使い勝手がよくなりました。

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