1999年7月 | NTT再編→ISDN回線を用いた定額サービス(IP接続サービス)の試験提供開始。 |
2000年7月 | IP接続サービス,「フレッツ・ISDN」として本格提供開始(64kbps,4,500円+プロバイダ料金) 定額接続=インターネット使い放題のはしり。 |
2000年12月 | メタルラインを使った高速インターネット「ADSL」の本格提供開始 NTT東西「フレッツ・ADSL」(下り1.5Mbps/上り512kbps,4,050円+プロバイダ料金)
NTT東西「光・IP通信網サービス」試験提供開始。いわゆる「フレッツ・光」。→高速通信が脚光を浴びる。 |
2001年4月 | 有線ブロードネットワークス「Broad Gate 01」発表(6,100円〜)。 →100Mbpsが主流という流れを作り,Bフレッツにもそれなりに影響を与えた。 |
2001年6月 | ソフトバンク,「Yahoo! BB」でADSL事業に参入。2,280円という破格の低価格で話題に。 これを契機に各業者が対抗値下げを行い,ADSLが一挙に普及。その反面Yahoo! BBは多数のトラブルを引き起こし,社会問題化するとともにブロードバンドに対する懐疑的な見方を生み出した。
NTT東西「Bフレッツ」発表。光ファイバを用いた超高速(最大100Mbps)FTTH(Fiber To The Home)サービスの本格化。 |
2002年2月 | 東京電力,関西電力など電力会社がFTTH市場に参入。 FTTH市場が一気に競争市場に。価格低下という流れ。 |
2002年4・5月 | NTT東日本,Bフレッツのメニュー拡充(ニューファミリータイプ) NTT西日本,Bフレッツのメニュー拡充(ファミリー100タイプ) 最大100Mbpsのインターネットサービスが1万円以下の水準に。 |
* 2002年3月現在のブロードバンド普及率は8.2%であった。また,2003年3月の普及率は24.8%と予想されている(情報通信総合研究所2002年5月21日報道発表による)。
近年では,コスト低減のために建築時に光ファイバーを引き込むケースが多く,NTT収容ビルから建物までまったくメタルラインが存在しないことも多い。→収容替えでもどうにもならなく,完全に諦めるしかない。ゆえに,個人単位で導入できる方法がなくなり,管理組合が問題となる。
法律上,共有物の管理行為(ブロードバンドの導入はこれにあたる)を行うには,持分の4分の3以上の同意が必要(*)である。しかし現実にはこれだけの同意を得るのが困難。インターネットへの無関心(IT時代とは言うけれど…)や,各世帯の思惑のズレ(価格をはじめとしたサービス条件の不一致)があると言われている。
★ つまり,個人としては関心があっても,マンション(集合住宅)の総意としては思うようにまとまらない。ということは,「いかに合意を形成するか」が導入のポイントとなる!
ここでは,(a)実際にいくらかかるのか(導入費用,月額費用)と,(b)誰が費用を負担するのかの2点が問題となる。
ケーブルテレビ・Bフレッツ以外の光ファイバー(電力系,デベロッパー提供):提示された利用料。
Bフレッツ:NTT側の利用料+プロバイダ料金(おおむね1000円台〜8000円程度まで)。(マンションタイプでは,PNAやVDSL装置の有無,同時に契約するユーザー数で変動)
そもそも受益者負担の原則に従えば,利用者のみが金銭負担を担うべきである。しかし実際のところ,マンション全体に不可分の形で導入する場合,利用しない人も含めた全ユーザーに負担を求められることもある。具体例としてeoメガファイバー・マンションタイプ(ケイ・オプティコム)。他方Bフレッツは利用しない人は負担を一切求められない。
管理組合が契約主体になるケースと個人が契約主体になるケースの相違点。
★ 全員の合意があれば,とにかく値段を安く抑える方向で検討できるが,全員が希望するというのはまれであろう。ただ,マンションの価値を高めるという意味で,一挙に全世帯に導入してしまうという方法はとりえる。
ダイアルアップ時代はめいめいが好きなプロバイダと契約してインターネットを利用。プロバイダに依存するサービス:電子メール,個人ホームページ,コンテンツ配信など。そのプロバイダに接続していないと利用できないサービス(ex. 外部からのホームページ更新を禁止しているプロバイダ多数)。
ケーブルテレビ,Bフレッツ以外の光ファイバーでは,入居者全員が指定の(あるいは系列の)プロバイダを利用することが前提。他方,Bフレッツでは対応プロバイダの範囲で任意に選択可能(現状を引き継ぐことも含めて)。
その1 千葉県・幕張ベイタウンのマンション「パティオス18番街」の事例。インプレスの「INTERNET Watch」でとりあげられた。【前編】 【中編】 【後編】 集合住宅へのBフレッツ・マンションタイプ導入事例として全般的に参考になるものと思われる。
その2 南大沢ブロードバンド(多摩市) Bフレッツ・マンションタイプ(HomePNA)導入から開通までの一連の記録が,写真入りで詳しく紹介されている。
「高速化に対する希望の程度」,「現状の利用手段」の2点は絶対に必要である。
それぞれの方式・業者にメリット・デメリットがあるので,複眼的な視点で比較すべき。価格だけにとらわれてしまうとろくなことにならない(某大手検索エンジンのブランドを利用したADSLサービスの例を出すまでもなく…)。
その一方で,管理組合としてのスタンスを確立することも必要。とくに,個人契約か団体契約か,めいめいがプロバイダを選ぶか全世帯で統一するか,どの程度のサポート態勢が必要かといった点についてはしっかりと詰めておく必要がある(ここをしっかり決められないと,営業担当者に押し切られてしまうことがある)。個人契約よりも団体契約のほうが,またプロバイダ選択の余地を認めない方が総会で同意を得ることは難しくなる。
Bフレッツ・マンション | eoメガファイバー・マンション | ZAQケーブルテレビ(神戸・芦屋) | |
契約主体 | 個人(プラン2はマンション単位での申し込み) 8ユーザー以上の申し込みが見込まれることが必要(NTTが判断)。 |
分譲では個人,賃貸では管理組合が契約。30ユーザー以上。 | 個人で可能。世帯数の制限なし。 |
通信速度 | HomePNA利用時:10Mbps VDSL利用時:50Mbps LAN配線利用時:100Mbps |
10Mbps(VDSL) | 下り8Mbps,上り2Mbps(同軸ケーブル) |
月あたり料金 | 【プラン1】8ユーザー以上:3,500円 【プラン2】16ユーザー以上一括:3,000円 *別途プロバイダ料金が必要。 *PNAやVDSLのレンタル料:700円 |
3,980円 | 5,500円 |
プロバイダ | 対応プロバイダの範囲で各世帯が選択可能。 | 指定プロバイダのみ | ← |
IPアドレス | グローバル(動的or固定) プロバイダとの契約による。 |
プライベート(最大5つ) | グローバル(動的) |
提供主体 | NTT東西+プロバイダ | ケイ・オプティコム | ケーブルテレビ局 |
実際には,このほかに重視する項目を調べたうえで比較する。これはあくまでも一例。
国土交通省から「インターネットアクセスの円滑化に向けた共同住宅情報化 標準,合意形成マニュアル等の策定について」(報道発表資料)が公表されました。内容的にもかなり詳しく,今のところは最も参考になる資料と思います。
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